むし歯予防

歯医者が選ぶ詰め物はゴールド?保険診療の詰め物の寿命はなぜ短い?

皆さんこんにちは

歯科医師の大原です(@yutaohara023

お久しぶりです!

約1ヶ月ぶりの投稿になってしまいました!

7月は勉強でとても忙しくって、ほぼ全ての休みでセミナーに行ってました

1つはゴールド修復を2日間

もう一つはマイクロスコープミラーテクニック道場

そして30-Under-30という若手臨床家の集まり

さらにオンラインサロンも3回開催して

大分診療も行ってきて

と、体が1つ足りません!状態でした。笑



僕がよく勉強しに行く理由は

自分の技術・知識がレベルアップするたびに、

患者さんの人生に貢献できるし

それが楽しいからですね!天職かもしれません😊

今日は少し落ちついたので久しぶりの投稿です👍

保険治療はなぜ長くもたないのか?というお話と

自分の歯の治療でゴールド修復を選ぶ歯医者が多いのはなぜか?

について解説していきます!

もくじ

銀歯はどれくらいもつ?

そもそも保険治療はどれくらいもつのでしょうか?

1995年の森田らの論文では

患者さんに詰め物・被せ物がどれくらいもったかを

聞き取り調査しました

それによるとおよそ5-7年でダメになることがわかっています

2007年の青山らの論文では

実際に詰め物・被せ物が取れた際に

治療歴を遡って調査しています

それによるとおよそ7-10年でダメになることがわかっています

つまり、保険治療はおよそ5-10年でダメになることが多いわけです

5回治療を繰り返すと歯は無くなる

Eldertonという先生がRepeat restoration cycleという

歯の治療サイクルを提唱しました

一度修復治療を行なってしまうと

その修復物はまたいずれ修復治療が必要になり

最終的には歯を失うまで治療が繰り返されるというものです

現在までに、虫歯になったら治療すればいいという考えから

再治療を繰り返すと歯の寿命が縮まるという考えに

徐々に変わってきました

それでもまだ虫歯になったら治療すればいいと考える人はたくさんいます

しかしながら、5回治療を繰り返すと歯は無くなると言われ

5-10年で治療を繰り返していると

50-60歳くらいで歯はダメになってしまいます

事実、歯科疾患実態調査のデータを見ても

50歳くらいから抜歯が増え始め

そこからは加速度的に歯を失っていきます

これは虫歯・歯周病治療の限界が来るためです

歯を失った後の治療は高額 or 不満足

歯を失った際の治療は

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 入れ歯

この3つから選ぶことになります

インプラントは人口の歯根を骨に埋め込むことで

歯を復活させるような治療です

しかしながら、費用が高額なこと

外科的な処置が必要なこと

天然の歯よりは歯周病のリスクが高いことなどの

デメリットもあります

ブリッジは隣の歯を多く削り、歯の寿命を大きく縮めます

入れ歯は虫歯のリスクが2倍以上高くなり、噛む力も落ちます

いずれにしても天然の歯に勝る治療は未だにありません!



対策① 虫歯・歯周病にならない習慣を身につける

以前からお伝えしているように

虫歯・歯周病は生活習慣病です

突発的になるものでも、万人がなるものでもありません

きちんとした知識を身につけ、習慣を変えればなりません

事実、歯周病の歯科衛生士は見たことがありません!

僕も一生歯周病にはならないと思いますし、

新しく虫歯ができることもないでしょう👍

対策② 定期検診に行く

定期検診自体に虫歯を予防する効果はないです

しかし、検査を行い、異常があれば早期発見・早期治療ができること

そして予防教育を受けることで生活習慣の乱れを正すことができるため

虫歯・歯周病が大きく進行することを防ぐことができます

そのため、定期検診に行っている人の歯を失う数は

行ってない人に比べて極めて少ないです

記事:定期検診の効果



対策③ 精密治療を受ける

ここまでの対策ができている上で

さらに、完璧を求めるならば

治療の精密さが重要になってきます

先ほどの対策①で、

2度と虫歯にならない

と言い切れなかったのですが

それは治療はあくまでも修理だからです

一度、治療を受けてしまった歯というのは

修復物の劣化や、修復物と歯の隙間から

再治療になることが多くなります

これは歯磨きが上手くても、定期検診に行っていても

食習慣が良くても起こってしまう可能性があります

それを減らすのが精密治療です

僕らが治療で目指すのは

完璧に近い偽物の歯(修復物)を作ることです

劣化しにくい材料を使い

可能な限り歯と修復物の隙間を減らす

それには高度な知識と技術が必要で

完璧な修理を目指して、日々研鑽を積んでいます👍

保険診療の限界

保険診療はやり直しが前提

という話を聞いたことがあるでしょうか?

そんな不誠実な!と思われるかもしれません

しかし、歯の治療の保険点数は

それくらいの点数しかないのです

例えば、下の奥歯が虫歯になり

インレーでの修復が必要になったとします

削って型取りの診療報酬は202点、

詰める時の診療報酬は685点です

合わせて887点(売り上げ8870円で、患者さん負担は3割で2960円)

ここから技工料金1000円、金属代3000円

歯科医師の人件費、歯科助手の人件費、受付の人件費

診療に必要な材料費

を引くと利益が出ます

自由診療と同じように

削る時間を1時間、詰め物をつける時間を1時間とって

型取りの材料も高品質なものを使って

丁寧に診療をすると

人件費は1人1時間800円以下で、材料費を除いても利益は残りません

歯科医師の人件費を3600円、歯科助手さんたちは1200円

と考えても、凄い赤字運営になります

なので削る時間を20分、つける時間を20分といった形で

最低限の時間で、最低限の材料で治療しているわけです

技工料金も本来1000円は安すぎます。

技工士さんの働く時間、材料費、知識・技術に見合ってません

後に出てくるゴールド修復などの技工料はその10倍以上します

海外ではこれが通常の報酬です

本来、高度な技術と知識に対してはこれくらい費用がかかるわけです

つまり診療・技工共にかけられる時間・材料が全く違うために

精度もそれなりのものになってしまうわけです

多くの歯科医師がゴールド修復を選ぶ理由

なぜゴールド修復か?

理由は以下の通り(※タッカースタディクラブより一部抜粋)

  • 折れない・割れない
  • 劣化しない
  • 歯と同じ熱膨張率
  • 接着剤に頼らない
  • 自分の歯と同じようにすり減る
  • 非常に長持ちする治療である
  • 保険診療でないため、十分な時間を確保できる

金はみなさんご存知の通り劣化がない材料です

セラミックも劣化はないのですが、

歯と同じように折れたり・割れたりします

特に歯軋りが強い人は、

すり減って薄くなっていき早期に割れてしまいます

ゴールドは歯と同じようにすり減ってくれますし

すり減って薄くなったとしても折れたりしません

ゴールドは展延性があるため、

そういったすり減るような力によって

さらに歯にフィットしていきます

つまり隙間が出来にくいわけです

どれくらい隙間がないかというのを電子顕微鏡で調べたものがあり

その隙間の大きさはなんと0.314μm(Warren Johnson先生)

ミュータンス菌の大きさが約1μmなので

菌が入るスペースすらないという驚愕のものです

ちなみにセラミックなどの治療では隙間が25μm程度あります

これでも髪の毛の太さ50μmよりも小さいのですが、

ゴールドと比べると大きいですよね。

セラミックの場合は、高品質な接着剤で接着しているため

虫歯菌の侵入は同じようにありません

しかし、その接着剤が何十年も劣化せずに保つわけではないので

(もちろん、かなり長く保つように材料は日々進化していますが)

現在のところ、ゴールド修復が最も長持ちする治療と考えられています

接着技術はかなり進歩していますので、

見える部分に関しては

僕ら歯科医師もセラミック治療を選択することが増えています

タッカースタディクラブに学びに行ってきました

さて、じゃあゴールド治療なら

誰がやっても、どんな技術でも大丈夫か

というとそうではありません

ゴールドやセラミックを使った治療であっても、

5-10年でダメになるという報告はザラにあります

原因は、そもそも虫歯・歯周病になる環境であったり

正しく精密治療が行えていないというのが原因です

ゴールドも

正しい知識・技術で行われれば

劣化しない材料だから長く保つ

というものなので、

そもそものゴールド修復の知識・技術を

しっかり学ばなければいけません

じゃあどこで学ぶのがいいのか

40年生存率94.1%のゴールド修復の論文を出したところから学ぶしかない!

と思って、その技術を日本で学べるところを探して

タッカースタディクラブジャパンを見つけました

2020年、連絡をとったもののコロナで開催されず

昨年、ようやく希望者で集まって開催され

生で見るその技術力と、考え方に感銘を受け

今年は、オンラインサロンメンバーに共有したいと思い

連れて行ってきました!

午前は抜去歯を使って練習

午後は患者さんを実際に削る

といった形の実践形式です

画像を見ればわかるかと思いますが

保険診療との差は歴然です

患者さんからも全く段差がなくって

自分の歯みたいと言っていただけました👍

これからも精進していきたいと思います!

今回、スタディクラブを開催していただいた

清水先生のクリニックをご紹介します

清水デンタルクリニック

石神井公園駅から徒歩5分ところにあります

オススメの歯医者さんです!

詰め物の治療を繰り返している方はぜひご相談に行ってみてください

ではまた!

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