ペリオ|ペリオ論文100選
骨縁下欠損に移植材を入れる。入れないでフラップを閉じる場合と比べて、実際どれだけの差になるのか。そして材料によって差はあるのか。2003年、メリーランド大学のReynoldsらが49の対照研究を集め、骨填入量・付着レベル・ポケット深さのすべてで数字を出しました。材料選びの前提が変わる1本です。
①入れるか、入れないか。差はどれだけか
骨縁下欠損にフラップを開けた。デブライドメントは終わった。ここで移植材を入れるか、そのまま閉じるか。入れたほうが良さそうだ、という感覚はあっても、「どれだけ良いのか」を数字で言える人は多くありません。
このシステマティックレビューは、そこに答えを出しました。MEDLINE(1966年〜)とEMBASE(1974年〜)を2002年10月まで検索し、骨移植材と他の外科的介入を比べた無作為化対照研究だけを集め、骨縁下欠損について49研究、根分岐部について17研究を採用しています。
②「骨が埋まったか」を、再手術で確かめている
このレビューの主要評価項目は骨レベルの変化(骨填入量)で、再手術時の直視、または経歯肉プロービング(サウンディング)で測ったものに限定されています。エックス線での推定ではありません。
- 採用:骨移植材と他の外科的介入を比較した無作為化対照研究。英語・ヒト
- 除外:非無作為の観察研究(症例報告・ケースシリーズ)、ばらつきの推定値がなく計算もできない要約統計しかないもの、骨移植材単独の介入がないもの
- 評価項目:骨レベル、臨床的付着レベル(CAL)、プロービングデプス(PD)、歯肉退縮、骨頂の吸収
- 材料は5カテゴリーに分類:同種骨(ALL)、自家骨(AUT)、リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)セラミック(CER)、サンゴ由来炭酸カルシウム(COR)、バイオアクティブグラス(GLA)
③骨は、1〜2mm多く埋まる
骨填入量の重み付け平均差は、サンゴ由来炭酸カルシウム2.21mm、自家骨1.62mm、バイオアクティブグラス1.61mm、リン酸カルシウムセラミック1.58mm、同種骨1.06mm。バイオアクティブグラスを除くすべてのカテゴリーで、フラップ単独より有意に大きい骨填入が得られました(ただしバイオアクティブグラスも、1研究を除くすべてで骨填入はOFDを上回っています)。
同種骨のサブグループを詳しく見ると、脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)と新鮮凍結同種骨ではOFDより有意に大きな骨レベル改善が得られた一方、脱灰していない凍結乾燥骨(FDBA)では有意差が出ませんでした。ただしFDBAの研究は2本・観察34件のみで、「効果がない」と結論するには足りないと著者らは慎重に書いています。
骨頂の吸収も、移植材を使ったほうが有意に少なく、これは主に同種骨とサンゴ由来のグループによるものでした。
④付着レベルは、全カテゴリーで勝った
CALの獲得はリン酸カルシウムセラミック1.20mm、バイオアクティブグラス1.05mm、サンゴ由来0.91mm、自家骨0.72mm、同種骨0.44mm。ここは5カテゴリーすべてでOFDより有意に大きく、しかも群間・群内ともに異質性の検定は有意ではありませんでした——つまり研究をまたいで一貫していた、ということです。
プロービングデプスの減少も全体としてOFDより大きく、同種骨・リン酸カルシウムセラミック・バイオアクティブグラスで有意。サンゴ由来だけは研究間のばらつきが大きく、有意差に届きませんでした。歯肉退縮の程度には、移植材の有無で差がありませんでした。
そして、材料選びに直接効く所見が2つあります。
- 同種骨とリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)セラミックを直接比較した4試験では、骨レベル・骨頂吸収・CAL・PD・退縮のいずれにも差がなかった
- 移植材単独と、移植材+バリア膜を比べた4試験では、付着レベルの獲得とポケットの減少で併用が有意に優れた。骨レベルについては、すべての試験が併用に有利な方向を示したものの、統計学的には有意に届かなかった(P≦0.11)
⑤「埋まる」と「再生する」は違う
このレビューがもう一つ丁寧に扱っているのが、組織学的な裏づけです。臨床的な数字と、実際に何が起きているかは別問題だからです。
- 2つの無作為化対照研究が、脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)は骨縁下欠損において新付着装置の形成を支持することを示している。一方フラップ単独では、主に長い上皮性付着による「修復」にとどまる
- 自家骨と脱灰同種骨が新付着形成を支持することは、複数の観察研究で一貫して確認されている
- 異種骨も新付着装置を支持しうるという限られたデータがある
- 対照的に、アロプラスト(人工材料)については、入手可能なデータのほぼすべてが「再生ではなく修復を支持する」ことを示している
臨床アウトカムの数字では人工材料も善戦していますが、そこで起きているのは再生ではないかもしれない——この区別は、患者への説明でも自分の判断でも持っておきたいところです。
⑥明日の臨床へ
- 骨縁下欠損に移植材を入れる根拠は、メタアナリシスのレベルで支持されている。骨填入で1〜2mm、付着レベルで0.4〜1.2mmの上乗せ
- 材料の優劣は、この解析からはほとんど出てこない。同種骨とハイドロキシアパタイトは直接比較で差がなかった。入手性・コスト・扱いやすさ・患者の受容性で選んでよい
- 「再生させたい」なら、脱灰同種骨や自家骨に組織学的な裏づけがある。人工材料は臨床数値は出るが修復にとどまる可能性が高い
- バリア膜の併用は、付着レベルとポケットに上乗せする。ただし骨レベルへの効果は有意に届いていない
- 根分岐部については、比較可能なデザインの研究が足りずメタアナリシスができなかった。それでも15の対照研究は、ClassII根分岐部への移植材の使用に総じて良好な結果を示している
⑦ここだけ、冷静に補助線
⑧今日のひとこと
入れれば1〜2mm多く埋まる。ただし何が埋まったかは材料で違う。臨床の数字だけを見れば材料の差は小さく、組織学まで見ると差が出てくる。この二層で材料を選べるようになると、患者への説明も変わってきます。
今日のひとこと
フォーカスクエスチョンは「歯周骨縁下欠損の患者において、骨移植材(BRG)は他の介入と比べて臨床・エックス線・有害事象・患者中心のアウトカムにどのような効果をもたらすか」。骨縁下欠損について49の対照研究、根分岐部について17研究が基準を満たした。フラップ単独(OFD)と比べた重み付け平均差は、骨填入量でサンゴ由来炭酸カルシウム2.21mm・自家骨1.62mm・バイオアクティブグラス1.61mm・リン酸カルシウムセラミック1.58mm・同種骨1.06mm。臨床的付着レベルの獲得はリン酸カルシウムセラミック1.20mm・バイオアクティブグラス1.05mm・サンゴ由来0.91mm・自家骨0.72mm・同種骨0.44mmで、すべてのカテゴリーでOFDより有意に大きかった。プロービングデプスの減少もOFDより大きく、同種骨・リン酸カルシウムセラミック・バイオアクティブグラスで有意。骨頂の吸収は移植材を使ったほうが有意に少なく、歯肉退縮の程度に差はなかった。同種骨とリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)セラミックの比較では、いずれのアウトカムにも差がなかった。移植材+バリア膜は移植材単独に比べ、付着レベルの獲得とポケットの減少で有意に優れた(骨レベルは同じ方向だが有意ではない・P≦0.11)。組織学的には、DFDBAが新付着装置の形成を支持したのに対し、OFDは長い上皮性付着による修復にとどまり、アロプラスト(人工材料)は基本的に再生ではなく修復を支持した。著者らの結論は「骨移植材は、外科的デブライドメント単独と比べて、歯周骨縁下欠損において明確な臨床的改善をもたらす」。
本記事は論文の要点を医療従事者向けにまとめた解説です。臨床判断は原著と最新のエビデンスをご確認ください。


