ペリオ|ペリオ論文100選
重度歯周炎の20名に、全顎4象限の歯周外科を行いました。術式も術者も同じです。違うのは術後だけ——半数は2週に1度のプロフェッショナル清掃、半数は6か月に1度のスケーリング。2年後、前者のポケットは2.5mmで安定し、後者は4.0mmに戻り、1年に1mmずつアタッチメントを失っていました。
①同じ手術を受けた20人が、2年後に分かれた
重度歯周炎の患者に、全顎4象限の歯周外科を行う。骨削除を伴う根尖側移動弁で、隣接面のクレーターと骨縁下ポケットを除去する。1970年代のヨーテボリで行われていた、当時としては最も徹底した外科です。
この試験がやったことは単純です。20名を無作為に2群へ分け、術式も術者も同じにして、術後の管理だけを変えた。
- テスト群(10名):2週に1度のプロフェッショナル清掃
- 対照群(10名・年齢を合わせた):6か月に1度のスケーリング
初診時の3つの指標に、群間差はありませんでした。プラーク指数1.4対1.3、歯肉炎指数1.5対1.6、ポケット深さ4.3mm対4.7mm(いずれもNS)。
②術式は同じ、術後だけが違う
対象は、進行した歯周疾患で専門治療に紹介された患者20名。初診時に、プラーク指数(Silness & Löe 1964)、歯肉炎指数(Löe & Silness 1963)、ポケット深さ、そしてアタッチメントレベル(各歯の歯冠上に定めたランドマークから測定)を評価。診査対象は全ての切歯・犬歯・小臼歯で、隣接面領域に限定されています。
20名全員がまず詳細な口腔衛生指導を受け、そのうえで全顎4象限にreverse bevel法(Widman 1920、Wright 1965)による歯周外科を受けました。根尖側移動の全層弁により外科的ポケット除去を行い、隣接面のクレーターと骨縁下ポケットを除去するための骨削除を伴っています。弁は歯槽骨頂の辺縁レベルで断続縫合し、術野はサージカルパック(Coe-Pac)で覆われました。
術後2週間は、0.2%クロルヘキシジン・ジグルコン酸塩で1日2回・各2分の洗口。14日目にパックと縫合を除去し、全員が機械的な口腔清掃法を再指導されています。ここまでは、両群まったく同じです。
分かれるのは、ここからです。
- テスト群:2週に1度のプロフェッショナル清掃。清掃の前に染め出しペレット(Rondell)で歯垢を染め、バス法のブラッシングと歯間清掃(トゥースピック)を実演・実習。歯科衛生士による清掃は、エンジンで回転させるラバーカップとブリッスルカップ、5%モノフルオロリン酸ナトリウムを含む研磨ペーストを用い、歯間はデンタルフロス(デントテープ)と歯間チップ(Eva Prophylaxis System)で行われた
- 対照群:6か月に1度、スケーリングのために呼び出された
再評価は6・12・24か月後。すべての記録は1人の歯科医師が行い、10名で二重記録を実施して診断誤差を確認しています(歯肉炎指数の一致率94.0%、隣接面ポケット深さの標準偏差0.11mm、アタッチメントレベル0.15mm)。
③差は、時間とともに広がった
ポケット深さは、テスト群が4.3mm(初診)→2.4→2.2→2.5mm。対照群は4.7mm→3.0→3.2→4.0mm。
群間差は、6か月で0.6mm(P<0.05)、12か月で1.0mm(P<0.02)、24か月で1.5mm(P<0.001)。「テスト群と対照群の平均ポケット深さの差は、術後観察期間が長くなるほど、ますます顕著になった」と著者らは書いています。
対照群も、外科の直後には3.0mmまで下がっています。手術は効いていた。しかし2年かけて4.0mmへ戻りました。
アタッチメントレベルの変化は、さらに明確でした。
- テスト群:+0.3mm(6か月)、+0.3mm(12か月)、+0.1mm(24か月)
- 対照群:-1.2mm(6か月)、-1.2mm(12か月)、-2.2mm(24か月)
- 群間差は1.5mm・1.5mm・2.3mm。いずれもP<0.01
「アタッチメントレベルのスコアは、対照群の患者が平均して1年に1mmの歯周支持組織を失ったことを示していた」。
プラークと歯肉の状態も、同じ方向を向いています。プラーク指数はテスト群で0.2・0.3・0.1、対照群で1.3・1.3・1.5。「6か月ごとのスケーリングは、初診時のプラーク指数を下げなかった」。歯肉炎指数はテスト群で初診時1.5からおよそ0.1へ低下し、3回の追跡検査を通じてその水準を保ちました。対照群は1.6から1.2・1.1・1.7——24か月時点では、初診時より悪化しています。
④「外科の成否は、術後2週間おきに決まっていた」
著者らの考察は、静かですが容赦がありません。
「2年の期間を通じて、対照群の患者は高い水準の口腔衛生を維持できないことが証明された。6・12・24か月後のプラーク指数は1.3、1.2、1.5であった。その結果として、歯周疾患の治療は失敗した」。
「患者は歯肉の炎症の臨床徴候(歯肉炎指数1.2-6か月、1.1-12か月、1.7-24か月)を示しただけでなく、病的に深いポケットの漸進的な再発(ポケット深さ3.0mm-6か月、3.2mm-12か月、4.0mm-24か月)とアタッチメントの喪失(1.2mm-6か月、1.2mm-12か月、2.2mm-24か月)も示した」。
そして、未治療の歯周炎との比較が置かれます。「未治療の歯周疾患の進行速度は縦断研究で十分に記録されていないが、Suomiら(1971)、Lightnerら(1971)、Björn(1974)の所見は、本研究の対照群で記録された歯周組織の悪化の程度がかなり高いことを示している」。
ここから、有名な一文が導かれます。「したがって、プラークコントロールへの高い要求を満たさない患者には、歯周外科は提供されるべきではないと示唆されるかもしれない」。
一方でテスト群は、まったく違う経過をたどりました。「高い水準の口腔衛生が維持された患者では、歯周疾患の治療は成功した。したがって2年の期間中、それ以上のアタッチメント喪失の傾向はなかった」。「さらに、歯肉炎指数のスコアは歯肉炎の徴候がごくわずかであることを示した。ポケット深さの値は、病的に深いポケットが再発しなかったことを明らかにした」。
「この調査の結果は、高い水準の口腔衛生が歯周外科の成功に不可欠であることを示している。そのような水準の口腔衛生を達成する手段はもちろん異なりうるが、本論文の著者らは、2週に1度の専門的な歯面清掃がひとつの方法であることを見出した」。
⑤明日の臨床へ
第一に、外科の適応に「通えるか」を含める。「プラークコントロールへの高い要求を満たさない患者に歯周外科を提供すべきではない」——これは50年前の提言ですが、いまも生きています。骨削除を伴う外科でポケットを消しても、術後の管理がなければ2年で元に戻る。それどころか、対照群は初診時より歯肉炎が悪化していました。
第二に、術後の管理は「回数」ではなく「頻度と中身」で決まる。対照群も6か月ごとにスケーリングは受けています。それでもプラーク指数は初診時から下がりませんでした。テスト群の2週に1度は、染め出し→その場での指導→歯間清掃→機械的清掃という手順がセットになっています。器械を当てる回数の話ではありません。
第三に、差が出るまでに時間がかかることを見込む。群間差は0.6mm→1.0mm→1.5mmと広がりました。術後6か月の時点では、対照群も3.0mmまで下がって「うまくいった」ように見えます。1年、2年と追わなければ、この差は見えません。短期の再評価だけで成否を判断しない、という戒めでもあります。
今日のひとこと
初診時の検査で、プラーク指数(テスト群1.4/対照群1.3)、歯肉炎指数(1.5/1.6)、ポケット深さ(4.3mm/4.7mm)のいずれにも有意差はなかった。両群とも詳細な口腔衛生指導を受けたのち、全顎4象限にreverse bevel法による根尖側移動全層弁で外科的ポケット除去を受けた。隣接面のクレーターと骨縁下ポケットを除去するための骨削除を伴う。術後2週間は0.2%クロルヘキシジン洗口(1日2回・各2分)、14日目にパックと縫合を除去して全員が機械的清掃を再指導された。テスト群はその後2週に1度のプロフェッショナル清掃(染め出し→バス法と歯間清掃の指導→歯科衛生士によるラバーカップとブリッスルカップ、5%モノフルオロリン酸ナトリウム含有研磨ペースト、フロスと歯間チップ)、対照群は6か月に1度のスケーリングのみを受けた。プラーク指数はテスト群で0.2(6か月)・0.3(12か月)・0.1(24か月)、対照群で1.3・1.3・1.5だった。歯肉炎指数はテスト群で初診時1.5からおよそ0.1へ低下し、対照群は1.6から1.2・1.1・1.7で推移した。ポケット深さはテスト群2.4→2.2→2.5mm、対照群3.0→3.2→4.0mmで、群間差は0.6mm(P<0.05)・1.0mm(P<0.02)・1.5mm(P<0.001)と時間とともに拡大した。アタッチメントレベルは、テスト群で+0.3・+0.3・+0.1mmとわずかに獲得したのに対し、対照群では-1.2・-1.2・-2.2mmと失われた(いずれもP<0.01)。著者らは「対照群の患者は平均して1年に1mmの歯周支持組織を失った」と記している。結論は「高い水準の口腔衛生は、歯周外科を成功させるために不可欠である」「プラークコントロールの高い要求を満たさない患者に、歯周外科を提供すべきではないと示唆されるかもしれない」。
本記事は論文の要点を医療従事者向けにまとめた解説です。臨床判断は原著と最新のエビデンスをご確認ください。


