「よりよき所に住め」──環境は、努力より先に効いてくる
どこに身を置くかという選択が、思っている以上に長く効いてくるという話です。

安い部屋には、それなりの理由がついてくる
昔、家賃の安い部屋に住んでいたことがあります。夜になると隣から延々と物音が響いてきて、正直かなり参りました。
安いには安いなりの理由があって、それは建物の造りだけでなく、そこに集まる人にも表れます。安さを最優先で選んだ人ばかりが集まれば、環境そのものが安さ相応になっていく。当時はそれを、毎晩の物音で学びました。
そういう我慢は抱え込まない方がいいと思っています。管理会社に言う、しかるべき窓口に相談する、今なら対処の手順を調べる手段もいくらでもある。黙って耐えるのが一番よくない選択です。

安さで選ぶ人にだけ売る商売は、続かない
『バビロンの大富豪の教え』という本に、「よりよき所に住め」という教えが出てきます。長い目で見て豊かになりたいなら、豊かな人が集まる場所に身を置きなさい、という話です。
これは商売の側から見ると、もっとはっきりします。安さでしか選ばない人に売り続ける限り、単価は上がりません。大手の牛丼チェーンのように全国規模で展開できるなら薄利多売でも成り立ちますが、同じことを個人の店がやれば、あっという間に立ち行かなくなります。実際、利益を度外視した安売りが地域全体の相場を壊してしまい、周りの店が苦しくなるという話もあるくらいです。

自分の仕事に価値を感じてくれる人が、いる場所へ
地方から都市部へ出てきたのは、もともと学ぶためでした。けれど今は、戻る理由がなくなっています。理由ははっきりしていて、こちらの方が歯科の治療そのものに価値を感じてくださる方が多いからです。
説明を最後まで聞いてくださる。長く保たせるための選択に納得してくださる。そういう患者さんが多い場所では、こちらもやりたい医療を正面からやれます。同じ腕、同じ努力でも、返ってくるものがまるで違う。これは自分の実力の問題ではなく、環境の問題です。
住む場所も働く場所も、努力より先に結果を決めてしまう変数だと思っています。だからこそ、そこを選ぶことにはお金も手間もかけていい。
おわりに
豊かに暮らしたい、いい仕事をしたいと思っているなら、頑張り方を工夫する前に、どこに身を置くかを一度疑ってみる価値があります。環境は、あとから効いてくるのではなく、先に効いてくるものだからです。


