SPTの間隔と効果 | Periodontology 2000
メインテナンス(SPT)の間隔、なんとなく半年ごとにしていませんか。SRP後、縁下の歯周病菌はおよそ9〜11週で治療前レベルに戻る――だから歯周炎の既往がある人は”戻る前”に会う=3か月ごとが目安。規則的なSPTは付着喪失と抜歯を確実に減らします。
リコール、なんとなく”半年ごと”にしていませんか?
治療が終わった患者さんのメインテナンス。次はいつ呼ぶ?——多くの医院で”半年ごと”が定着しています。でも、その間隔に根拠はありますか。1996年、WilsonはSPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー=メインテナンス)の意義と間隔を整理し、間隔には”戻る前に会う”という物差しがあることを示しました。
従来の悩み:リコール間隔の根拠が曖昧だった
メインテナンスは「歯石取りとクリーニング」の慣習から発展し、間隔は経験則で決められがちでした。2週間、3か月、半年——文献でも様々な間隔が提案され、「結局、何か月ごとが正解なのか」ははっきりしませんでした。SPTという名称自体、1989年のワークショップで「単なるリコールではなく歯の生存を左右する治療」だと位置づけ直されたばかりでした。
今回の一手:SPTの意義・必要度・目的・間隔・効果を整理する
Wilsonは、SPTを「病歴・レントゲン・軟組織/歯周組織の検査・縁上縁下のプラーク除去・必要に応じたSRP・セルフケアの確認までを含む治療」と定義し直し、間隔をどう決めるべきかを多数の臨床研究から整理しました。カギになったのは、治療後に細菌がどう戻るか、という視点です。
では、間隔を決める”物差し”とは何だったのか——。
結果:縁下の菌は9〜11週で”元に戻る”
SRPで一度抑え込んだ縁下の歯周病菌は、平均9〜11週でベースライン(治療前レベル)に戻ります(個人差は大きい)。だから「菌が戻りきる前に会う」なら、歯周炎の既往がある人は3か月ごと=年4回以上が目安になる。実際、規則的にSPTを受けた患者は、受けない・間隔が空いた患者より付着喪失も抜歯も少ないと多くの研究が示しています。一方、歯肉炎のみで付着喪失がなければ年2回で足ります。
なぜ?──セルフケアだけでは縁下は管理しきれない
患者さんのブラッシングがどれだけ上手でも、縁下のバイオフィルムまでは届きません。歯周炎既往者では、縁上のセルフケアだけでは付着喪失を止められないことが示されています。だからプロが定期的に縁下を機械的に壊し、再定着を”戻る前”に断つ。これがSPTの本質です。
明日の臨床へ:リスクで間隔を”個別化”する
実装はシンプルです。歯周炎の既往がある人は3か月(年4回)を基準に、リスク(喫煙・糖尿病・残存ポケット・清掃状態)に応じて詰める/緩める。付着喪失のない歯肉炎は年2回。そしてコンプライアンスが結果を大きく左右します——予約の取りやすさ、次回来院の意義の共有、来なくなった人へのフォロー。過去に付着喪失のあった部位は再発しやすいので、そこは特に注意して監視し、必要なら再治療(能動的治療)に戻します。
今日のひとこと
メインテナンス(SPT)は歯を残す要。SRP後、縁下の歯周病菌はおよそ9〜11週でベースラインに戻るので、歯周炎既往者は”戻る前”に会う=3か月ごと(年4回)が目安。規則的SPTは付着喪失・抜歯を減らす。歯肉炎のみで付着喪失がなければ年2回でよい。間隔はリスクで個別化し、コンプライアンスを高める工夫を。


