むし歯予防

【論文イラスト解説】最強のメインテナンス・30年で歯を1本失わない方法

みなさんこんにちは

歯科医師の大原です(@yutaohara023

今日は前回の記事でお伝えした

メインテナンスの効果の中でも

「30年研究」と呼ばれるアクセルソン先生が出した

衝撃の論文

歯を失う数が30年で1本いかなかったメインテナンス

その内容・理由について解説したいと思います

もくじ

メインテナンスの内容は3つ

  1. 詳細な症例説明と自己診断
  2. セルフケア方法のレクチャー
  3. PMTC(歯面清掃)

これらを最初は2ヶ月に1回

3年目からは3ヶ月に1回行いました

1回あたりの時間は30分程度

もっと具体的にみていきます↓

① 詳細な症例説明と自己診断

写真や検査結果を見て

自分で今、健康な状態かどうか

歯周病・虫歯のリスクが上がってないか

を判断できるようになってもらいます

ここが大事で

体重計に乗ったときに、自分が適正体重かどうか

みなさん知っているかと思います

歯グキも同じように適正値があるので

その値を3ヶ月ごとにチェックし、把握してもらいます

② セルフケア方法のレクチャー

まず、歯垢を染色します。そして

・バス法という磨き方での歯垢の落とし方

・フロス・テープ・つま楊枝などの歯間清掃の方法

を教え、実践してもらい

歯科衛生士が必要に応じて修正を行います

アクセルソン先生が提唱した

「キーリスク部位」の磨き方を教えていたと考えられます

「キーリスク部位」とはプラークが溜まりやすい箇所のことで

キーリスク部位以外を念入りにケアすることは

砂漠にレインコートを持っていくようなものだ。と

アクセルソン先生は語っていたそうです

③ PMTC(歯面清掃)

定期的に検診に行っている方にはお馴染みのアレですね

この論文ではラバーカップとフッ素入り研磨材を使って

毎回綺麗に清掃しています

ちなみにですが、PMTCだけをやっても効果がない

という論文は多数あります

つまり歯石だけ取ったり、クリーニングだけしても意味がないです

なぜなら細菌は取り除いてから42日程度

ほぼ元と同じ程度に戻るからです

ではなぜ、メインテナンスを行うと効果が出るのか?

そんなに特殊なことはしてないが、効果抜群の理由

どうでしょう?

30年で1本も歯を失わないメインテナンスと聞いて

・1時間以上の徹底的なクリーニング

特殊な薬剤の塗布

・超効果的なブラッシング法の伝授

・歯垢がよく取れる清掃グッズ

などを想像したでしょうか?

実はそんなに特殊なことはしていません

最初にしっかり虫歯・歯周病治療をしてもらい

3ヶ月に1回、自分の状態、ケア方法のチェック

それをやり続けることで

患者さんは自らの健康を保ち続けることができました

なぜか?

それは患者さんが自らの状態がいい状態かどうかを

30年間「チェックするために来院を続けたから」です

太らないために一番大事で簡単なことは

運動をたくさんすることでも

食事制限を厳しくすることでもなく

体重計に乗り続けること」です

節約のために一番大事で簡単なことは

家計簿をつけ続けること」です

30年研究の締めの言葉に

30年間来院を続けた患者さんについてこう書いてあります

この研究に参加した患者たちは、
高水準の口腔衛生状態を維持することの

利益を理解し、それを楽しんでいた

みなさん家計簿をつけるのを楽しむように

歯科医院での検査結果を見ることを楽しみにしていたようです

我々も継続的にご来院したいと思えるような

環境作りを行っていきたいと思います

ではまた!

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