AIという「立体機動装置」で、巨人の肩に乗る
おはようございます。今日は朝礼で話した「巨人の肩に乗る」という話を残しておきます。

巨人の肩に乗ると、景色が広く見える
「私が遠くまで見渡せたのは、巨人の肩の上に立っていたからだ」——ニュートンが残したとされる言葉です。ここでいう巨人とは、過去に積み上げられてきた知識や、先人たちの経験のこと。論文を読んだり、過去を勉強したりするというのは、この巨人の肩によじ登る作業だと思っています。
高いところに立てば、それだけ景色が広く、俯瞰的に見える。逆に言えば、自分一人の背丈で見えている範囲なんて、たかが知れているわけです。

知識がないまま「自分で考える」と、同じ失敗を繰り返す
以前、フィンランドの教育の話をYouTubeで見ました。2000年代に学力世界一になった時期があって、そのときのフィンランドは詰め込みの真逆——子どもに主体性を持たせて「なぜ時計は12なのか、みんなで考えよう」といった授業をし、宿題も出さなかったそうです。
ところが順位を調べていくと、実はその1位は、その少し前にやっていた詰め込み教育の成果が出ていただけ。主体性重視に切り替えたあとは、学力はどんどん下がっていったといいます。
知識がない状態で自分たちだけで考えると、たいてい的外れな答えを出して失敗する。しかもそれは、過去に誰かがとっくに経験している失敗を、もう一度なぞっているだけ。だからこそ、過去を勉強する——先人がどこでつまずき、どうすればよかったかを学ぶことに意味があります。

AIで、誰もが巨人の肩に乗りやすくなった
先日の勉強会で、ある新しい歯科材料を使うと歯が割れにくくなる(破折抵抗が上がる)という話がありました。「倍になる、すごい」と思う一方で、僕はシンプルに「じゃあ元の丈夫さに戻るの?」と疑問に思ったんです。
昔ならこの手の疑問は、その分野を長年やっている人にしか答えられませんでした。論文を探しても、ドンピシャのものは無かったりする。ところがAIに聞くと、似た条件の研究を引っ張ってきてくれて、「削ると強さは3分の1まで落ちる」「その材料で3分の2までは回復する」——つまり元には戻っていない、というところまで見えてくる。
自分が思いついたアイデアは、過去に必ず誰かが検証しています。その「誰かの失敗や検証」を、AIを使えばものすごく探しやすくなった。巨人の肩に、誰もが乗りやすくなったんです。まるで立体機動装置を手に入れたようなもので、あとはそれを使いこなすだけ。

ただし、自分が大きくなったと勘違いしない
一つだけ気をつけたいのは、あくまで乗っているのは巨人の肩であって、自分自身は小人のままだということ。いろんなことを勉強すると、つい自分が偉くなった・大きくなったと勘違いしてしまいます。そこを取り違えると、また同じように失敗する可能性が高い。これもニュートンが戒めていたと言われる点です。
「自分のこのアイデアはいけるはず」と思ったときこそ要注意。まずは同じことを試して失敗した人を検索してみる。その謙虚さと道具(AI)をセットで持てば、失敗する確率はぐっと下げられます。


