残存ポケットへの非外科的再器具操作(ステップ3)の実測
再評価で5mmが残った。切るか、様子を見るか。——その二択の手前に、もう一つ選択肢があります。「もう一度、非外科で触る」。2025年、一般診療で治療された489人のデータが、その2度目の勝率を教えてくれました。そして同時に、1度目の仕上がりがその後をどれだけ左右するかも。
①再評価の日、5mmが残っていた
SRPをひと通り終えて、6か月後の再評価。ほとんどは3mm以下に落ち着いたけれど、大臼歯の遠心に5mm。ここで何を選ぶでしょうか。
外科へ送るか、メインテナンスで様子を見るか——そう考えがちですが、その手前にもう一つあります。「もう一度、非外科で触る」。ただ、その勝率を答えられる人は多くないはずです。
②それまで:「2度目」の数字が無かった
非外科治療の効果を測った研究の多くは、1度きりの介入とその後の経過を見ています。EFPのガイドラインは治療を段階(ステップ)で整理し、残存ポケットへの対応をステップ3として位置づけました。
ところが「ステップ3で実際どれだけ閉じるのか」は、大学病院の選ばれた症例ではなく、ふつうの診療室で測ったデータが要ります。そこがこの研究の狙いです。
③今回の一手:489人を、一般診療のまま18か月追う
対象は、歯周炎と診断され非外科で治療された489人。6か月後の再評価で5mm以上の残存ポケットがあれば、そこへもう一度器具を入れます。そして18か月後に最終評価。
設計の巧みなところは、6か月時点の結果で患者を3群に分けたことです。A群=5mm以上の残存なし、B群=残存5〜6mm、C群=残存7mm以上。主要評価項目はポケット閉鎖(4mm以下)です。
④結果その1:2度目は、3〜4割が閉じる
5〜6mmのポケットへの再器具操作で、B群・C群ともおよそ39%が閉鎖。7mm以上の深い残存部位では28%。
3回に1回強、と読むか。深いところでも4回に1回は閉じる、と読むか。切らずに済む可能性がこれだけ残っているなら、2度目には十分な意味があります。
もうひとつ、道具についての所見があります。手用と超音波を併用したほうが、それぞれ単独よりも有効でした。「道具は結果を変えない」というのが非外科治療の大きな流れですが、残存ポケットという難所では、組み合わせが効いた——数少ない例外にあたります。
⑤結果その2:1度目の仕上がりが、その後を決めていた
こちらのほうが、じつは重い発見かもしれません。
6か月時点ですでに治っていた部位が、18か月後も閉じたままだった割合を群ごとに見ると——A群(残存なし)で80%、B群(5〜6mm残存)で50%、C群(7mm以上残存)で40%。
同じ「治った部位」なのに、その人の口の中に深い残存ポケットがあるかどうかで、維持率が倍近く変わるのです。部位の勝負ではなく、口全体の勝負だということになります。
ロジスティック回帰では、ステップ1・2の結果の安定性に影響していた因子としてベースラインのポケット深さ、喫煙、年齢、歯種が挙がりました。
⑥明日の臨床へ:2度目は「集中」で戦う
そして、2度目で動かなければ、次は非外科の外側を考えるタイミングです。閉じないポケットを削り続けても、減るのは根面のほうでした。
今日のひとこと
2度目は5〜6mmで約39%、7mm以上で28%が閉じる。そして1度目の仕上がりが、18か月後の安定を決めていた。


