リコール間隔のエビデンスを問い直したレビュー
3か月。多くの診療室で、これが標準の間隔になっています。では、その3か月はどこから来たのでしょうか。2020年のこのレビューは、間隔そのものを支えるエビデンスを正面から点検しました。答えは歯切れが良くありません——そして、その歯切れの悪さこそが、いま知っておくべきことでした。
①「3か月」と、どんな顔で言っていますか
再評価が終わり、メインテナンスへ移る日。「これからは3か月ごとに診せてください」——そう伝えたあとで、こう聞かれたことはないでしょうか。「なぜ3か月なんですか」。
細菌が戻る前に会うため。そう答えれば、話は通ります。では4か月ではいけないのか。2か月にすべき人はいるのか。この論文は、その問いを正面から扱いました。
②それまで:間隔は「決まっている」ことになっていた
SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)が歯を守ることは、繰り返し示されてきました。通院が不規則な人ほど歯を失うことも分かっています。そこまでは揺るぎません。
ところが「では何か月ごとか」となると、文献の推奨は1か月から6か月まで、大きくばらついていました。それぞれの研究が、それぞれの都合で間隔を決めていた——という状態です。
③今回の一手:間隔そのものを支える証拠を、点検する
著者らは、SPTの推奨間隔に関する既存研究を横断的に点検し、間隔を左右しうる要因を整理しました。さらに、フェラーラ大学の自施設コホートを再解析し、残存する病的部位——具体的には「出血するポケット」(BOP陽性かつPPD 5mm以上)——が、その後の進行をどれだけ言い当てるかを検討しています。
④結果:効くのは「通うこと」。決まっていないのは「間隔」
結論部の一文が、この論文のすべてを言っています。規則的なSPTを土台とした予防的な管理は、歯周組織の健康を保ち歯の喪失を防ぐことが示されている。しかし、異なるリコール間隔どうしの適切性・利益と不利益の釣り合い・費用対効果に関する証拠は、現時点では乏しい。
「効くかどうか」と「何か月ごとか」は、別の問いだったのです。前者には答えがあり、後者にはまだない。
そのうえで著者らは、現時点で言える範囲を書いています。歯周組織が健康な人や軽度の人であれば、少なくとも12か月に1回の間隔でも短期的には安定を保てるかもしれない。中等度から重度の歯周炎の患者では、2〜4か月の間隔が現在得られているエビデンスに支持される。——「全員3か月」ではなく、幅のある提示です。
⑤では、何を手がかりに間隔を決めるのか
著者らが挙げる手がかりが、残っている病的部位の量です。
レビューが引いているMatulieneらの結果を見てください。SPT開始時に残ったポケットが深いほど、その歯を失うオッズは跳ね上がります。3mmを基準にすると、5mmでオッズ比 5.8(部位レベル)/7.7(歯レベル)、6mmで9.3/11.0、7mmでは37.9/64.2。患者単位で見ても、6mmを超える部位が1か所でもあり、かつBOPが30%以上であれば、それは歯の喪失のリスクでした。
実際に、この考え方を運用に落とした報告もあります。Ramseierらのプロトコルでは、BOPが20%以上なら、それまでの間隔を1〜2か月短くする(下限は3か月)。逆に落ち着いていれば12か月まで延ばす。暦ではなく、口の中の状態が間隔を決めるという設計です。
自施設データの再解析からも、ひとつ希望のある数字が出ています。SPTを通じて出血するポケットは減っていき、開始時に出血するポケットだった部位のうち、最後のSPT時点でもそのままだったのは33.4%でした。残り3分の2は、通い続ける中で改善していたことになります。
⑥明日の臨床へ:3か月を、説明できる3か月にする
そして患者さんへの説明も変わります。「決まりで3か月です」ではなく、「いま出血する深い場所がこれだけ残っているので、3か月で診せてください。落ち着いたら延ばしましょう」。間隔が動きうるものだと伝えておくと、通い続ける理由も伝わります。
今日のひとこと
規則的に通うことは効く。だが「何か月ごとか」を決める根拠は、まだ薄い。間隔は暦ではなく、残っている病的部位の量で決める。


