分類が新しくなっても、手元の仕事は変わらない
2018年に分類が変わり、ステージとグレードで語るようになりました。では、その二軸に入れる数字は何から作られているのか。2024年の総説が並べたのは、驚くほど地味な4つの診査でした。
①「ステージⅢのグレードB」と書く、その手前で
新分類が定着して、カルテには二軸の診断名が並ぶようになりました。研修会でもステージとグレードの付け方を学びます。
ところで——その二軸に入れる数字は、どこから来ているのでしょうか。分類の話に入る前の、もっと手前の作業です。
②それまで:診査の中身は「当たり前」として飛ばされてきた
分類が変わるたびに、僕たちは新しい枠組みの使い方を学びます。一方で、その枠に入れる情報をどう集めるかは「基本」として扱われ、あらためて検討される機会が多くありません。
けれど、第1章で見たようにプロービングには誤差があり、エックス線には時間の遅れがある。入力が揺れれば、どんなに精緻な分類でも出力は揺れます。
③今回の一手:診断を作っているものを、並べ直す
この総説は、日常臨床で歯周の健康・歯肉炎・歯周炎を見分けるために使われている従来型の診断基準を整理したものです。新しい技術の話ではなく、いま僕たちが実際に使っている手順の棚卸しにあたります。
④結果:4つだけだった
並んだのは、歯周組織の色と性状を目で見ること。プラークの付着を評価すること。プロービングで測ること。そして画像診断。この四つを集めて診断名を付け、治療計画に進む。
中でもプローブは必須の診断器具だと位置づけられます。ポケットの深さ、臨床的アタッチメントレベル、プロービング時の出血、そして複根歯の分岐部の状態——一本の器具が四つの情報を運んでいる。
歯周炎の徴候が見つかったときに画像診断が加わり、骨破壊の程度と広がり、欠損の形態が評価される。順序としても、まずプローブが先です。
⑤総説がはっきり書いていること
この総説の誠実なところは、これらの指標に限界があると認めたうえで、なお現在の standard of care であると明言している点です。より良い方法が確立するまでの暫定策ではなく、いまの標準として扱う。
そしてもう一つ、実務的な指摘があります。評価し、記録し、解釈するには訓練が要る。器具ではなく人が精度を決める、という当たり前のことを、あらためて書いています。
⑥明日の臨床へ:4つのうち、どれが弱いか
自院の診査を、この四つで点検してみると弱点が見えます。
今日のひとこと
診断を作るのは、視診・プラーク・プロービング・画像の四つ。限界を承知で使い続ける現在の標準であり、精度を決めるのは器具ではなく訓練された人。


