1問1答 論文 エンド

XP-endo Shaperは折れにくい?——曲がった人工根管ではTRUShapeより長くもち、ねじりで折れたときのトルクは半分だった(2018年)

1問1答 論文 エンド

エンド|体温で形を変える「くねくね」ファイル XP-endo Shaper(FKG)は、折れにくいのか。同じ蛇行形状のTRUShape(Dentsply)と、繰り返し疲労(曲がった根管で回し続ける)とねじり(先端が噛み込んだままねじる)の2つの試験で比べた実験室の研究(Silva 2018・Journal of Endodontics)

ファイル破折には、曲がった根管で回し続けて金属が疲れて折れる「繰り返し疲労」と、先端が噛み込んだまま根元が回ってねじ切れる「ねじり」の2つの型があります。著者らは、体温で蛇行形状に変わる新しいファイルXP-endo Shaper(#30・初期テーパー0.01)と、同じく蛇行形状のTRUShape(#30・0.06v)を10本ずつ使い、2つの型それぞれで折れるまで試しました。結果、37℃の曲がった人工根管では、XP-endo Shaperは破折までの回転数が平均1653回(TRUShapeは496回)、時間でも124秒対99秒と長くもちました。一方、先端3mmを固定してねじる試験では、折れたときのトルクは0.84 Ncm対1.68 NcmとXP-endo Shaperが半分。ただし折れるまでにねじれた角度は776°対400°と大きく、よく曲がる・ねじれる柔らかいファイルだという姿が見えました。「曲がりには強いが、噛み込ませて力で回すのには弱い」——この2面を知って使うのが、この研究の持ち帰りです。

論文
Cyclic and Torsional Fatigue Resistance of XP-endo Shaper and TRUShape Instruments
著者
Emmanuel João Nogueira Leal Silva, Victor Talarico Leal Vieira, Felipe Gonçalves Belladonna, Arthur de Siqueira Zuolo, Henrique dos Santos Antunes, Daniele Moreira Cavalcante, Carlos Nelson Elias, Gustavo De-Deus(グランデ・リオ大学・フルミネンセ連邦大学・軍事工学研究所、ブラジル)
掲載
Journal of Endodontics 2018;44(1):168-172. doi:10.1016/j.joen.2017.08.033
種類
実験室の研究(in vitro)。長さ25mmのXP-endo Shaper(#30・初期テーパー0.01)20本とTRUShape(#30・0.06v)20本を使い、各10本ずつを2つの試験に回した。繰り返し疲労試験:ステンレス製の人工根管(角度60°・曲率半径5mm・先端径0.4mm・テーパー0.06)を37℃の蒸留水で満たし、メーカー指定の条件(XP-endo Shaper 800rpm・1 Ncm/TRUShape 300rpm・3 Ncm)で折れるまで回転させ、時間を記録。回転数=回転速度×時間。ねじり試験(ISO 3630-1準拠):新品の先端3mmを固定し、2rpmで時計回りにねじって、折れたときの最大トルクと回転角を測定(37℃の箱の中)。破断面は走査型電子顕微鏡(SEM)で観察。解析はStudentのt検定(P<.05)
PMID
29079058

①体温で曲がるファイル、折れにくいの?

冷やすとまっすぐ、根管に入れて温まるとくねくねの蛇行形状に変わる——XP-endo Shaperを初めて手にしたとき、「こんなに細くて柔らかいファイル、折れないの?」と感じた先生も多いのではないでしょうか。

この論文が出た時点で、XP-endo Shaperの破折のしにくさを測ったデータはまだ無かったと著者らは書いています。そこで、同じ蛇行形状のTRUShapeと並べて、2種類の「折れ方」で試したのがこの研究です。

結論を先に言います。曲がった根管で回し続ける試験ではXP-endo Shaperのほうが長くもち、先端を固定してねじる試験では、折れたときのトルクがTRUShapeの半分でした。「曲がりには強いが、力で回すのには弱い」という2面を持ったファイルです。

②ファイルが折れる2つの型

ニッケルチタン(NiTi)ロータリーファイルは、ステンレスの手用ファイルより速く、根管の中心を保って形成できます。その一方で、破折のリスクがついて回ります。折れ方には2つの型があります。

・繰り返し疲労(cyclic fatigue):曲がった根管の中で回るたびに、ファイルの同じ場所に「伸びる力」と「縮む力」が交互にかかり、金属が疲れて折れる。
・ねじり(torsional):先端が根管に噛み込んで止まったのに、根元が回り続けてねじ切れる。

この2つを減らすために、メーカーは断面の形を変えたり、熱処理した新しい合金を使ったりしてきました。今回の2本はどちらもその流れにあるファイルです。

TRUShape(Dentsply):熱処理したNiTiで、縦方向にS字に曲がった形。先端2mmはテーパー0.06で、根元に向かってテーパーが小さくなる(太さの増え方がゆるやかになる)。断面は対称な三角形。象牙質を削りすぎないとうたわれている。
XP-endo Shaper(FKG):独自合金(MaxWire)。冷えているとまっすぐな#30・テーパー0.01だが、体温で蛇行形状に変わり、この1本で少なくとも#30・0.04まで形成できるとされる。

③今回の一手:同じ条件で「回し続ける」「ねじり切る」

使ったのは長さ25mmのXP-endo Shaper(#30・初期テーパー0.01)20本とTRUShape(#30・0.06v)20本。それぞれ10本ずつを2つの試験に回しました(使う前に実体顕微鏡で傷や変形を確認し、除外は0本)。
・繰り返し疲労試験:ステンレス製の人工根管(角度60°・曲率半径5mm・先端径0.4mm・テーパー0.06。曲がりの中心は先端から5mm)を37℃の蒸留水で満たし、メーカー指定の条件(XP-endo Shaper 800rpm・1 Ncm/TRUShape 300rpm・3 Ncm)で折れるまで回転。折れるまでの時間を測り、回転速度×時間で破折までの回転数を出した。
・ねじり試験(国際規格ISO 3630-1に準拠):新品の先端3mmを固定し、2rpmで時計回りにねじって、折れたときの最大トルクと回転角を測った(37℃の箱の中)。
・折れた断面はすべて走査型電子顕微鏡(SEM)で観察。

ポイントは37℃で試したことです。XP-endo Shaperは体温で性質が変わる合金なので、室温で試しても本来の姿は見えません。著者らは臨床に近づけるため、両方のファイルを37℃の条件でそろえました。

④結果①:曲がった根管で回し続けると、XP-endo Shaperのほうが長くもった

0 500回 1000回 1500回 2000回 破折までの回転数(回) 1653回 496回 XP-endo Shaper TRUShape 原著Table 1の平均値(SD ±235・±20)。各10本。回転数=回転速度×破折までの時間。回転速度はメーカー指定(XP 800rpm・TRU 300rpm)
破折までの回転数(原著Table 1の平均値)。各10本。回転数=回転速度×時間で、XP-endo Shaperは800rpm、TRUShapeは300rpmで回している

破折までの回転数は、XP-endo Shaperが平均1653回(標準偏差235)、TRUShapeが496回(標準偏差20)で、差は統計的に有意でした(P<.05)。

0 50秒 100秒 150秒 破折までの時間(秒) 124秒 99秒 XP-endo Shaper TRUShape 原著Table 1の平均値(SD ±17・±4)。各10本。37℃の人工根管(60°・曲率半径5mm)で回し続けた
破折までの時間(原著Table 1の平均値)。各10本。37℃の人工根管(60°・曲率半径5mm)

折れるまでの時間も、XP-endo Shaperが平均124秒(標準偏差17)、TRUShapeが99秒(標準偏差4)で、XP-endo Shaperのほうが有意に長くなりました(P<.05)。回転数でも時間でも、XP-endo Shaperのほうが長くもったことになります。

1つ押さえておきたいのは、2本はメーカー指定の条件で回していて、回転速度とトルクが違う(800rpm・1 Ncm対300rpm・3 Ncm)ことです。まったく同じ条件での1対1の比較ではありません。著者らはこの点について、回転速度は疲労寿命に影響しなかったという別の研究(Mtwoでの報告)を引き、XP-endo Shaperは速い回転で回されながら、なお良い結果だったと述べています。
長くもった理由として、著者らはMaxWire合金に加え、テーパーの小ささ(0.01対0.06v)と断面の違いが関わっている可能性を挙げています。

⑤結果②:ねじりには、折れる力は半分・ねじれる角度は約2倍

0 0.5 1.0 1.5 2.0 破折時の最大トルク(Ncm) 0.84 1.68 XP-endo Shaper TRUShape 原著Table 1の平均値(SD ±0.11・±0.14)。各10本の新品。先端3mmを固定してねじった(ISO 3630-1)
ねじり試験で折れたときの最大トルク(原著Table 1の平均値)。各10本の新品。先端3mmを固定してねじった

先端3mmを固定してねじると、折れたときのトルクはXP-endo Shaperが平均0.84 Ncm、TRUShapeが1.68 Ncm。XP-endo Shaperはちょうど半分の力で折れました(P<.05)。著者らは、TRUShapeの断面積が大きいことと合金の種類が効いていると考えています。

0 300° 600° 900° 破折までの回転角(°) 776° 400° XP-endo Shaper TRUShape 原著Table 1の平均値(SD ±27・±22)。各10本の新品。先端3mmを固定し2rpmでねじり切るまでの角度
ねじり試験で折れるまでの回転角(原著Table 1の平均値)。各10本の新品

一方、折れるまでにねじれた角度はXP-endo Shaperが776°、TRUShapeが400°。XP-endo Shaperは約2倍ねじれてから折れていました(P<.05)。

よくねじれるファイルは、折れる前にねじれ・伸びといった変形が目に見えやすい。著者らは、この大きな回転角が「そろそろ危ない」という目印として術者の役に立つかもしれないと述べています。

SEMで見た破断面は、2本とも同じような姿でした。どちらの試験でも、金属が粘って引きちぎれたときの延性破壊の特徴(小さなくぼみ=ディンプル)が見られ、ねじり試験では回転の中心近くに、ねじり破折に典型的な同心円状の擦れ跡がありました。

⑥なぜ「曲がりに強く、ねじりに弱い」のか

著者らは、どちらの結果にも細さ(テーパー)・断面・合金の違いが関わっていると推測しています。

曲がった根管で回るとき、ファイルの外側と内側は伸び縮みを繰り返します。細くてしなやかなファイルほど、その負担は小さくなると考えられ、著者らはXP-endo Shaperの柔軟性の高さを長くもった理由の1つに挙げています。一方、先端が噛み込んだときのねじりに耐えるには断面の太さ(断面積)が効き、断面積の大きいファイルほどねじり強さが高いという過去の報告があります。著者らは、TRUShapeが強かったのは断面積の大きさと合金の種類によるのだろうと述べています。

なお、XP-endo Shaperを使う前には#15・テーパー0.02までのグライドパス(通り道)を作るようメーカーが指示しています。著者らは、この事前の拡大がねじりの負担を減らしうると述べています。

⑦明日の臨床へ

・曲がった根管で回し続ける負担には強い。この研究の条件では、XP-endo ShaperはTRUShapeより長くもった(回転数1653回対496回、時間124秒対99秒)。
・先端を噛み込ませて力で回すのには弱い。ねじり破折のトルクはTRUShapeの半分(0.84 Ncm対1.68 Ncm)。
・#15・0.02までのグライドパスを先に作る(メーカーの指示)。著者らは、この事前の拡大がねじりの負担を減らしうると述べている。
・2本はメーカー指定の条件(800rpm対300rpm)で回した比較で、まったく同じ条件での1対1の比較ではない。数字の差をそのまま「何倍折れにくい」と読まない。
・よくねじれるファイルなので、引き上げたら変形がないか見る習慣が、破折の手前で気づく助けになる。

⑧ここだけ、冷静に補助線

これはステンレスの人工根管と試験装置での実験室の研究で、実際の歯や口の中での破折率を見たものではありません。各試験10本ずつと少数です。本来、人工根管はファイルの太さとテーパーに合わせて作るべきとされますが、2本はテーパーが違うため同じ人工根管で比べています(著者らも認めている点)。回転速度・トルクの設定もメーカー指定どおりで2本で違い、同じ条件での1対1の比較ではありません。ねじり試験の装置は37℃の水に沈められず、37℃の箱の中で行っています。それでも、体温で形を変えるファイルを37℃の条件で試し、「曲がりへの強さ」と「ねじりへの弱さ」を同じ研究で並べて示した点は、このファイルの使い方を考える確かな材料になります。著者らは利益相反は無いと記載しています。

今日のひとこと

この研究では、XP-endo Shaperは曲がった人工根管で回し続けても折れにくく(破折まで平均1653回・124秒、TRUShapeは496回・99秒)、ねじり切れるまでの角度も大きい(776°対400°)一方、折れたときのトルクはTRUShapeの半分(0.84 Ncm対1.68 Ncm)でした。曲がりには強いが、先端を噛み込ませて力で回すのには弱い——メーカーは使う前に#15・0.02までのグライドパスを求めており、著者らはこの事前の拡大がねじりの負担を減らしうると述べています。ただし回転速度・トルクはメーカー指定の条件で2本で違う(800rpm対300rpm)ため1対1の比較ではなく、10本ずつの実験室の結果で、口の中の破折率を見た研究ではありません。

Silva EJNL, Vieira VTL, Belladonna FG, Zuolo AS, Antunes HDS, Cavalcante DM, Elias CN, De-Deus G. Cyclic and torsional fatigue resistance of XP-endo Shaper and TRUShape instruments. J Endod. 2018;44(1):168-172. doi:10.1016/j.joen.2017.08.033. PMID: 29079058
本記事は論文の要点を医療従事者向けにまとめた解説です。臨床判断は原著と最新のエビデンスをご確認ください。